精神分析 自我の防衛機制~無意識のうちに
「自我は.....危険、不安、不快を避けるために、数々の手段を用いる」フロイト(1939)
自我は無意識のうちにこうした防衛のメカニズムを用います。
話を聴いていくと、何らかの防衛の仕方に固執していると思えることがあります。
過去のある時点において、それは心にとっての危険に対処するために、自我がとった適切な防衛策だったのかもしれません。しかし時間が経過し、状況が変わっていく中でも同じ防衛の仕方に固執しているのだとすれば、逆に社会生活上の不適応が生じてくるでしょう。
末娘 アンナ・フロイトの列挙
- 「抑圧」 自分で受け入れがたい考えや感情や記憶を意識の外に追いやる 例:不快だった記憶がいつの間にか忘れられている
- 「反動形成」自分で受け入れがたい考えや感情を見ないようにするために、 それらの考えや感情とは正反対の態度や行動をとる
例:心の中で憎しみを抱いている相手に対して
逆に過度に優しく振舞う - 「分離」 ある考えや体験と、それに伴う感情を切り離して、
感情を表に出さない
例:辛かったはずの体験を感情を交えず淡々と語る - 「否認」 現実を知りつつも直視せず、事実として認めない
例:誰がどう見ても負けがはっきりしているのに、
「負けていない」と言い張る - 「投影」 自分で受け入れがたい考えや感情を、
自分ではなく他の人が持っているようにみなす
例:意識の上ではある人から猜疑心を持たれていると感じている
が、実は自分がその人に猜疑心を持っており、
それを自分で認めがたいがために向きを逆さにしている - 「退行」 以前の発達段階に後戻りする
例:子どもが弟妹の誕生を機に母親の気を引こうとして、
すでにやらなくなっていた指しゃぶりを再び始める - 「同一化」同一視 ある人の特質を自分に取り入れることによって、
その人と同一になろうとする
例:親が亡くなった後、亡くなった親のしぐさを
いつの間にか真似することで、喪失の悲しみを癒す - 「合理化」 不快な現実を受け入れるために、もっともらしい理屈をつけ、
本心を隠して納得しようとする
例:『イソップ物語』酸っぱいブドウの話 - 「補償」 自分のある特質に劣等感を抱いて不快に感じる場合に、
別の得意な性質によって補い、バランスを取る
例:勉強はあまり得意ではない分、得意なスポーツに打ち込んで
能力を発揮する - 「置き換え」ある対象に対して何らかの欲求を抱きながらそれを満たすことが
叶わない場合に、その欲求を他の対象に向けて満たそうとする
例:職場の上司に対して向けられない怒りを
部下に八つ当たりすることで発散 - 「昇華」 性的衝動、攻撃衝動などをそのままの形で満たすことが
許されない場合に、社会的、文化的に価値ある活動に置き換える
例:喧嘩を頻繁に繰り返していた人が、
格闘技の選手となって優勝を目指す
自我が無意識のうちに行っている、今では不適応になってしまった防衛機制を明らかにし、より適応的な形で自分を守れるように援助する!
防衛機制は適応・不適応の観点から「適応論」と呼ばれることもある
~キャリアカウンセラー養成講座 日本マンパワーより~